法務省では、法制審議会が、自動車運転死傷処罰法を改正するよう答申しています。今回の改正案には、高齢ドライバーによる交通事故の防止対策も定められました。75歳以上のうち、一定の交通違反がある人を対象に、実際に車を運転して能力を確かめる運転技能検査(実車試験)を行い、合格するまで免許を更新できない制度を導入します。安全運転サポート車だけを運転できる限定免許も新設します。実施時期は2022年をめどにしています。
実車試験を義務付けるのは、75歳以上のうち、おおむね過去3年間に信号無視や速度超過などの違反をした人を対象とすることを検討しています。免許を更新する75歳以上は、年間約200万人にのぼり、そのうち1割程度とみられます。対象者には免許更新時に自動車教習所で運転してもらい、操作や安全確認の状況などを見て技能を採点します。基準に達しない人は免許更新を認めません。しかし、試験を繰り返し受けることができるほか、普通免許が対象のため、不合格でも原付や耕運機など小型特殊の免許は継続できます。
警察庁は実車試験導入と並行し、75歳以上を対象にした判断力や記憶力を調べる認知機能検査と、70歳以上を対象に行っている高齢者講習の在り方も見直していきます。講習は全体の時間を短縮し、車を運転してもらう実車指導にも技能の客観的評価を取り入れ、技能の自覚を促します。
(2020年3月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)