黄砂と常位胎盤早期剝離の発生との関連性

東邦大学、九州大学と国立環境研究所の疫学研究グループは、東アジア内陸部の砂漠由来の砂塵である黄砂と産科救急疾患である常位胎盤早期剥離の発生との関連性を報告しています。子どもが生まれる前に胎盤がはがれてきてしまう産科救急疾患である早期剥離の発症機序はまだよく分かっていません。東邦大学医学部の道川講師、九州大学大学院医学研究院の諸隈教授、国立環境研究所の清水主任研究員らの研究グループは、外的環境因子がその発症に関与する一因ではないかと考えて疫学的検討を行ってきました。

(BJOG: An International Journal of Obstetrics and Gynaecology)

今回、日本産科婦人科学会が実施している周産期登録事業の登録データを利用し、東アジア内陸部の砂漠由来の砂ぼこりである黄砂が飛来した1~2日後に、早期剥離をともなう出産が増加するという関連性を示した研究成果を発表しています。これは世界初の、人を対象としたデータを統計的に分析した疫学研究報告です。黄砂が妊婦の健康にどのような影響を与えるのか研究を進めることは、早期剥離の発症機序を解明する糸口になる可能性があります。

(2019年11月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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