小保方ユニットリーダーの記者会見を見て、万能性を示すSTAP細胞の存在については未だ不明であるが、STAP細胞現象は存在するかもしれないとの印象をもった。小保方氏は200回以上作製したとしているが、本人が見出した方法で万能細胞と考えられている細胞を作製する実験を200回以上試みたのであろうが、それぞれの実験でその細胞に万能性があることは確認していないと思う。そのためSTAP現象を有する万能細胞であることの検証が200回されたわけではないであろう。
もう一つの重大な問題は、STAP細胞がもつ万能性を示す画像である。この研究結果は本論文の最も重要なデータであり、染色性がSTAP細胞を用いた検討では良好でなかったために、博士論文の画像を用いたと考えられる。これは単純ミスとは思われず、故意に変更したとしか考えられない。自分で研究した重要なデータは必ず覚えているものであり、画像を処理してゆく過程で間違えることはないと思う。捏造や改ざん疑惑も解消されたとは言い難い会見であった。
STAP現象の存在は事実としても、STAP細胞作製の再現性や細胞のもつ万能性については不明なままである。小保方氏は作製にはコツがあると述べており、それは企業秘密であり、発表できないことも理解できる。世紀の大発見といわれた研究成果だけに、小保方氏に今一度再現実験をしてもらったら如何だろうか?
(2014年4月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)