小保方氏らは今回のSTAP論文を英科学誌ネイチャーに投稿する前に、2012年4月ネイチャー、同年6月に米科学誌セル、同年7月にサイエンスに投稿したが、いずれもrejectされ掲載されなかった。査誌の段階で、新たなる万能細胞の存在自体への疑問や、データの不十分さへの多くの指摘を受けていた。掲載したネイチャーの査誌者の中にも、懐疑的なコメントをするものが含まれていた。
しかしながら、今回の掲載には編集者の判断がかなり強く働いた印象を受ける。人目を引く研究成果を好むネイチャ―誌の商業主義的な一面が出たとの指摘もある。ネイチャー誌は小保方氏の論文を撤回したが、掲載ありきの前にデータをもう少し検証していれば、科学史に残る不祥事を回避できたのではないだろうか。
(吉村 やすのり)