1人目の壁

 少子化が進む背景には、結婚しない人が増えていることがあります。出生数と初婚同士の婚姻数はともに半世紀で6割減っており、減少率には連動がみられます。出生数に占める第2子以上の割合も増加しており、結婚せず子どもを持たないか、子どもを2人以上産むかの二極化が進んでいます。最初の子どもを産むか産まないかという1人目の壁がハードルになっています。

 婚外子が少ない日本では、まず結婚を後押しすることが少子化解決の第一歩につながります。こども家庭庁の調査によれば、未婚の若者の51.1%が、結婚すると夢がなくなると答えています。出生数を増やすには、若い世代が結婚にメリットを感じられる政策が一つの方法になります。

 わが国の少子化を考える上で、これまでは結婚することが大切であると考えられてきました。しかし現代の若者は、結婚することに意義を見いだせなくなっています。また将来、子どもを持ちたいと考える若者も減少しています。児童手当を1兆円増やしても、出生率は0.1程度しか上がらないと試算されています。いま育てている子の習い事や塾代に使うだけで、もう一人産もうとはならないと考えています。異次元の少子化対策が実行されて1年が経過しましたが、出生率の増加につながることはあまり期待できません。

(2025年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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