1億円の壁への問題提起

政府の税制調査会では、金融所得への課税強化を巡り、1億円を境に税負担率が下がる1億円の壁と呼ばれる問題に是正を求める指摘が相次いでいます。
1億円の壁とは、総所得が1億円の人を境にして、所得が増えるほど税負担率が下がる問題のことです。給与所得の所得税率は、金額に応じて55%まで上がる一方、株式の売却益や配当といった金融所得の税率は一律20%と低くなっています。このため、金融所得が多い富裕層ほど税負担が軽くなり、不公平な状態になっています。
財務省は総所得が1億円以上の富裕層の所得の内訳を提示しています。額が大きいのは、非上場株式の売却益の27%や土地や建物の売却益の21%で、市場で取引される上場株式の売却益は、14%にとどまるとしています。金融所得に限らず、不動産の売却益なども含めて課税の仕組みを幅広く見直す必要があります。金持ち優遇との批判を避けるためにも、NISA(少額投資非課税制度)拡充と金融所得課税の強化はセットにしてバランスをとるべきです。

(2022年10月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。