1型糖尿病は、本来自分を守る免疫が暴走するなどして膵臓のβ細胞が壊され、インスリンがつくれなくなる病気です。インスリンの働きがないと血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉、脂肪などに取り込めず、高血糖になってしまいます。糖尿病患者の9割以上を占める2型糖尿病は、遺伝的要因のほか、肥満や過食、運動不足など生活習慣病が影響します。1型はそれとは関係なく、突然発症します。高血糖が続くと、網膜剝離や腎症、脳梗塞、心筋梗塞などの合併症を起こす恐れがあります。
防ぐには血糖値を安定させることが大切で、患者は食事前や朝晩などにインスリンを自分で注射して補う必要があります。ただ、コントロールは難しく、血糖値を下げるためにインスリン量を増やすと、意識障害を起こす重症低血糖になる恐れもあります。昨年、血糖値を下げる薬であるスーグラが、1型糖尿病の治療薬として承認されました。スーグラは腎臓が糖を取り込む働きを妨げて、尿として出すことで血糖値の上昇を防ぎます。2014年に2型糖尿病の治療薬として承認されていました。
(2019年2月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)