遺伝子治療

 遺伝子治療とは、人間の体内に特定の遺伝子を入れ、正常な機能を果たしていない遺伝子の働きを抑制したり、補ったりして正常な機能を回復し、病気を治すことです。遺伝子の欠損が原因の遺伝病を治したり、失われた組織を再生させることが可能となり、治療法もなかった疾患にも効果が期待されています。遺伝子治療は、再生治療とならぶ次世代医療の柱です。
 遺伝子治療薬の世界市場は、2020年に400億ドルになるとの試算がありますが、まだほとんど製品化に至っていません。日本では14年施行の改正薬事法で、遺伝子治療の規制緩和が実施されました。欧米勢よりも収益力の劣る日本の医薬メーカーが、国際競争力を強化することを狙っています。少ない試験回数ですむため、欧米では10年前後かかる開発期間を数年短縮できるようになります。政府は、欧米に先駆けて規制緩和に踏み切りました。新制度導入の背景には国内の患者にいち早く最先端の医薬品を届けるとともに、次世代医療分野で日本が先頭に立てるようにする狙いがあります。

(2016年2月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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