2015年度の政府予算案と税制改正法案が国会に提出されました。消費税率10%への引き上げを今年10月から17年4月に延期した結果、年金が少ない人への給付金や保険料の納付期間が短くても年金を受け取れる制度は、15年度の導入が見送られました。医療や介護でも、お年寄りを取り巻く状況は厳しさを増しています。14年度以降、新たに70代になった人の医療費の窓口負担は1割から2割になります。このように予算を切りつめたとしても、高齢化に伴って今後ますます社会保険費は増える見通しです。今後も高齢者に対する負担増の傾向は止まらないと思われます。
税制改正法案では、子や孫にまとまった住宅や教育資金を信託銀行の口座などを通じて非課税で渡すことができる制度を延長・拡充しています。非課税で一括贈与できるのは、それぞれ子・孫一人につき1500万円です。結婚や子育て資金も新たに一括1千万円まで非課税枠で渡せるようになります。信託協会によると、教育資金を贈与する口座の利用件数は、昨年末までの1年9カ月で10万件を突破し、贈与額は7千億円にのぼっています。お年寄りの手元にあるお金を若い世代に移すことで消費を刺激し、景気回復につなげようというねらいですが、野党は格差拡大につながると批判しています。
(2015年2月18日 朝日新)
(吉村 やすのり)