厚生労働省の発表によれば、2019年生まれの赤ちゃんの数は、統計開始以来最少の86万5,234人でした。前年比5万3,166人減で、90万人割れは初めてです。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数である合計特殊出生率は1.36で、前年から0.06ポイントも低下しています。死亡数は138万1,098人となり、戦後最多です。出生数から死亡数を引いた人口の自然減は51万5,864人で、過去最大の減少幅であり、わが国は死亡大国になってしまいます。
昨年結婚したカップルは、前年より1万2,484組増の59万8,965組となり、7年ぶりに増えています。令和婚の影響とみられますが、出生率には反映されませんでした。初婚の平均年齢は夫が31.2歳(0.1歳増)、妻が29.6歳(0.2歳増)で、いずれも6年ぶりに上昇しています。政府は、第4次少子化対策大綱で、若い世代が希望どおりの数の子どもを持てる希望出生率1.8を目標に掲げています。しかし、少子化はとどまる気配がありません。
厚生労働省は、この出生率の低下、出生数の大幅な減少には、若い女性の減少や未婚・晩婚化の増加に加えて、翌年に改元を控えた2018年の婚姻件数が減少したことが影響していると分析しています。出生数の減少と高齢化社会の進行で、人口の自然減の拡大傾向は今後も続くものと思われます。新型コロナウイルスの影響で経済情勢が悪化すれば、少子化がさらに加速されることが予想されます。官民がより強い危機感を持って、対等を講じなければ、わが国の少子化はいつまでたっても克服できません。
(2020年6月6日 読売新聞)
(吉村 やすのり)