厚生労働省の2020年の人口動態統計によれば、生まれた子どもの数は84万832人で、5年連続で過去最少を更新しました。1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率も1.34で5年連続で低下しました。死亡数から出生数を引いた人口の自然減は、53万1,816人で、過去最大です。
出生数を5歳ごとの母親の年齢別で見ると、45歳以上でわずかに増加したものの、44歳以下のすべての年代で前年より減少しています。全体の死亡数は11年ぶりに減り137万2,648人でしたが、出生数の減少が大きかったことが人口減に拍車をかけています。自然減が50万人を超えるのは2年連続です。
婚姻件数は、戦後最少で52万5,490組です。前年は元号が変わったタイミングで結婚する令和婚が多かったことから、7年ぶりに増加していましたが、2020年は再び減少に転じています。前年と比較し、婚姻件数が12%減、妊娠届けが5%減となっており、2021年の年間出生数は80万人を割り込むと推計されています。2021年1月~3月の人口動態統計速報では、出生数は前年同期より9%減っています。
出生数の回復には時間がかかりそうです。日本では結婚後に出産することが多いため、20年の婚姻数が戦後最少となった影響が続くと考えられます。晩婚化や、育児の負担が女性に集中する状況などに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけています。2021年は少子化がさらに深刻になると思われます。2021年に80万人を割ることになれば、2016年に100万人を割ってから5年で20万人も急減することになります。
(2021年6月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)