法務省の発表によれば、2020年の司法試験に1,450人が合格したと発表しています。2019年より52人少なく、政府目標の1,500人以上を初めて下回っています。受験者数の減少傾向も続いており、法曹離れに歯止めがかかっていません。
合格者数の減少は5年連続です。受験者数は3,703人で、2019年から763人減り、合格者と同様に5年連続で減少しています。消費者金融への過払い金返還請求業務が一巡するなど、民事訴訟の大幅減から弁護士需要が伸び悩んでいることなどが背景にあります。合格率は、前年度比で5.53ポイント増の39.16%で、合格者の内訳は、男性1,083人、女性367人です。学校別の合格者は、多い順に東京大学、慶應義塾大学、京都大学、中央大学、一橋大学です。
弁護士需要は伸び悩んでいます。2019年に全国の地方裁判所で新たに起こされた一般的な民事訴訟は、約13万4千件で、2009年の約23万5千件と比べて4割減っています。また法科大学院は、大学入学から法曹資格取得までは8年弱かかるため、時間・学費の負担が重くなっています。法曹需要が増えない中、法科大学院の志願者も、2016年度以降は概ね8千人台で横ばいが続いています。
(2021年1月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)