働きたい女性が社会で活躍するには、男性が積極的に家庭にかかわり女性の負担を減らすことが重要となります。女性に負担を強いる社会から女性が働きやすい社会へ、そして、国の活力を維持するためにも、2020年が男性育休元年と位置付けられるような力強い取り組みが必要となります。
厚生労働省の雇用均等基本調査によれば、2018年度に男性の育休取得率は6.16%と6年連続で上昇しています。10年前に比べると5倍の水準となっていますが、政府が掲げる2020年に13%実現への道は遠いものがあります。内閣府の資料によると、6歳未満の子を持つ夫婦の1日あたりの家事育児時間は、妻が7時間34分であるのに対し、夫は1時間23分に過ぎません。米国やスウェーデンでも、妻が夫の2倍近くの時間を費やしていますが、日本の妻への偏りは先進国で突出しています。
日本の合計特殊出生率は低空飛行を続けたままです。フランスや北欧では、男性が主体的に家事や育児に関与することで女性の社会参画を促進し、出生率も回復させています。少子化に歯止めをかけるため、日本の男性も育児に積極的になることが欠かせません。政府は男性の国家公務員に育休取得を促す方針を掲げています。官民をあげて、男性のより良い育児のスタートを後押ししています。そうした環境づくりに着手できるなら、2020年は男性育休元年となりえます。
(2020年1月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)