2020年度の国の税収が過去最高でした。2019年度より2兆円あまり多い60兆8,216億円で、これまで最高だった2018年度の税収を約5千億円も上回っています。内訳は消費税が21兆円、所得税が19.2兆円、法人税が11.2兆円で、この主な3税がいずれも2019年度より増えています。
2019年10月に、消費税率が8％から10％に引き上げられたことが大きな要因です。2019年度は10月以降の半年だけが10％でしたが、2020年度は1年を通して10％だったので、その分税収が景気に左右されにくいと言われています。コロナ禍の2020年度は、初めて主な3税の中で最も税収が多い稼ぎ頭になりました。
税収が増えましたが、国の財政状況は良くなっていません。2020年度はさらに悪化しています。国がコロナ対策などで使った歳出も、2019年度の約1.5倍に跳ね上がり、過去最高になりました。歳出と税収の差はじわじわ開いており、推移を示す折れ線グラフはワニの口と呼ばれています。
（2021年8月18日 朝日新聞）
（吉村 やすのり）
