2021年9月入学をめぐる待機児童の試算

英オックスフォード大学の苅谷教授らは、政府が検討中の9月入学で、文部科学省が出した来秋導入の際の新たな案について、学校教育や保育への影響を試算しています。新小学1年生の対象範囲を5年間かけて移行する段階的実施案の場合、1年で移行する一斉実施案と比べて、5年間で保育所の待機児童が計20万3千人分多くなり、新たな待機児童は計46万8千人になるとしています。
一斉実施案は、2021年度の新入生のみ、いまの年長児に加え、年中児のうち4月2日~9月1日生まれを合わせて17カ月の学年とし、翌年度からは従来の12カ月の学年に戻すとするものです。段階的実施案は、2021~2025年度と5カ年の新入生をそれぞれ13カ月の学年とし、2026年9月入学からは12カ月の学年に戻すとするものです。
段階的実施案は、学校教育への影響は減りますが、問題を保育に転嫁し、共働き家庭に負担を求める案とも言えます。一斉実施案よりはるかに待機児童を抱える家庭が増え、時期も長期化することが予想されます。コロナ後の社会にとってインパクトはより広範に及ぶかもしれません。

(2020年5月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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