わが国の合計特殊出生率は、諸外国に比べると極めて低率です。米国は1.86、フランスは2.01であり、ドイツは1.47で日本と同様に低い状況にあります。お隣の韓国はわが国より出生率が低く、少子化問題は深刻です。
わが国の合計特殊出生率の最も高かったのは、1947年で4.54でした。第一次ベビーブームである49年まで4を超えていました。この3年間の出生数は年260万人台と多く、団塊の世代と呼ばれています。その後は女性の社会進出などで出生率は徐々に低下し、1975年には2.0を割り込みました。そして2005年には過去最低の1.26まで低下しました。人口を維持するには、人口置換水準である2.07まで引き上げることが必要になります。
安倍晋三首相は、成長に向けた新3本の矢の一つとして希望出生率1.8を掲げています。子どもを欲しいと願う若年層の希望がすべてかなうと達成する水準です。政府は2025年度までの達成を目指しています。しかし、長時間労働で仕事と育児の両立が難しいことなどから子どもを産むのをためらう若年夫婦も多く、達成の道のりは途方もなく遠いものがあります。
(2016年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)