35歳の壁

仕事探しで誰もが気になるのが年齢です。長らく転職年齢の上限とされてきたのが35歳の壁です。総務省の労働力調査によれば、2020年の転職者数のうち、35歳以上は186万人で全体の約6割を占めています。このうち45~54歳の中高年は59万人と、10年前から55%も伸びています。
しかし、最近この35歳の壁は崩れつつあります。若い人材を育てるよりも、脂の乗った40歳で即戦力になる人材を採ったほうが効率的だと、多くの企業が気づき始めています。働く人も市場の変化を冷静に見据えて行動しています。市場の求める知識やスキルを磨くリスキリングの動きも広がっています。
年功序列と終身雇用を核とした日本型の雇用システムは、1960年代の高度経済成長期に確立しました。1980年代には日本の経済成長を支える仕組みとして世界中の注目を集めました。しかし、企業の人事制度も変革を迫られています。社内の各ポストの職務を明示して、その能力を備えた人材を起用するジョブ型雇用の導入です。ジョブ型になれば年功賃金もなくなります。終身雇用も形骸化し、転職の動きが加速すると思われます。

(2022年1月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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