自治体が行う5歳児健診について、国の助成制度が始まります。小学校入学を前に発達障害を早期に発見し、医療や福祉などによる支援につなぐことが大きな狙いです。現在乳幼児を対象とした健診は、主に、生後1カ月、生後3~6カ月、生後9~11カ月、1歳半、3歳、5歳のタイミングで行われています。母子保健法が自治体に実施を義務づけているのは1歳半と3歳で、その他は任意です。国が費用を助成し、5歳は生後1カ月とともに、2024年1月から対象となっています。
こども家庭庁によれば、5歳児健診の目的は子どもの特性を早期に発見し、適切な支援や育児指導をすることで、健康の保持や増進をはかることにあります。発達障害は他の健診でも項目に盛り込まれることがあるものの、5歳は言語の理解能力や社会性が高まる時期でもあるため、医師らが把握しやすいとされています。実施要項では、健診項目を身体発育状況、栄養状態、精神発達の状況、言語障害の有無、生活習慣の自立や社会性の発達など育児上問題となる事項、その他の疾患や異常の有無としています。
文部科学省の2022年の調査によれば、通常学級の小中学生のうち、発達障害の可能性がある児童・生徒は8.8%で、2002年調査の6.3%から上昇しています。学校や家庭で発達障害の認知度が高まり、診察希望者が増えていることが背景にあります。
(2024年11月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)