7対1入院基本料の見直し

 診療報酬改定は2年に1回、介護報酬改定は3年に1回の改定であり、2018年度は6年に1回の両者の同時改定となります。わが国の少子高齢化は、他の先進国と比べスピードが非常に速く、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、4人に1人が75歳以上という超高齢社会が到来します。現時点でも75歳以上の入院患者が50%を超えており、今後は高齢者向けの医療ニーズが一層増えると予想されます。
 2006年度の診療報酬改定で新設された71入院基本料は、入院患者7人に対して常時看護師1人以上配置するものです。従来の101看護配置よりも手厚い看護体制であり、高度急性期医療への対応が可能となりました。診療報酬も相対的に高く設定されていることから、71入院基本料の導入期には、71の看護配置基準を満たそうとする病院が殺到し、高機能の病床が必要以上に増えすぎました。しかし、今後、人口減少と少子高齢化により高度急性期医療のニーズは減っていきます。従って現在35万床以上ある71病床を大幅に削減し、リハビリテーションなど高齢者の医療ニーズに対応した病床に転換していくことが今後の課題です。
 これまでの看護必要度だけでなく、より客観性の高い医事データも補完的に活用したうえで、7対1の基準を厳格化しなければなりません。それにより、7対1入院基本料の病床を削減し、地域包括ケア病棟など高齢者の在宅復帰を支援する病床への転換を強力に進める必要があります。人口減少と少子高齢化に対応するため、入院医療のあり方に大きな変革が求められています。

(2017年11月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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