企業や医療機関などで受ける健康診断は、生活習慣病やがんなどの早期発見や治療につながるとされています。長生きするために健診を受けている人が多いと思われますが、実は、死亡率を減らすかどうかわかっていない項目も含まれています。健診を過信せずに、目的や年齢に合わせて、種類や受け止め方を考えることが重要です。健診は、健康か否かをおおまかに把握するもので、特定の病気を見つけるために受けるのではありません。結果から悪そうな臓器などを絞り込み、精密検査によって病気の診断をし、早期の治療につながることになります。
健診は法律に基づいて受けるタイプと人間ドックなど個人の意思で受けるタイプに大別できます。健診には、労働安全衛生法という法律により、企業などが実施を義務付けられている健診や、40~74歳の自営業者や主婦などが受ける特定健康検査などがあります。職場健診は、日本人の死因の中で上位を占める生活習慣病を早期に見つけて治療し、健康で生産性が高い労働力を維持するのが目的です。特定健診はメタボリック症候群の予防など、中高年の健康維持を目指しています。一方、任意の検診である人間ドックなどは、検査項目も多く、メニュ-は実施医療機関によって異なります。CTや内視鏡など最新の医療機器を使う検査も含まれています。
(2015年7月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)