健康診断の是非―Ⅱ

 健診は、一般的に特定の病気を早期に発見し、早期治療するのが目的です。がん検診が代表例です。肺がんや胃がんのエックス線検査や大腸がんの便潜血検査、乳がんのマンモグラフィ-検査などは、受診により死亡率を減らすことができます。日本では健診に比べて受診率が低めですが、欧米では逆にがん検診の受診率は高いとされています。
 健診では、メリットとデメリットを考える必要もあります。健診で生じる不安や、エックス線やCT検査などの被曝などの不利益もあります。年齢によって利益と不利益のバランスも変わります。例えば、項目が増えると不安をあおり、精密検査を受ける人が増え、医療費がかさむといった欠点もあります。がんの成長には一定の時間がかかります。有益性と不利益性を考えれば、がんの成長が遅くなる70歳以上は、がん検診を受けない選択肢もあると主張するものもいます。

(2015年7月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
 

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