女性活躍推進―Ⅴ

出産と育児

 女性がやりがいのある仕事に巡り合ったとしても、女性が出産後に就業を継続するには容易ではありません。政府は、女性の継続就業を可能にするために、育児休業法などの両立支援に力を入れてきましたが、その効果は十分とはいえないものがあります。出産後に初職を継続している女性は、全体の15%にとどまっています。育児休業取得後に6割以上の女性が離職しています。
 多くの先進国では、働く母親の事情を理解し、多様な働き方の選択肢を提供しています。ところが日本では、専業主婦のいる男性並みの画一的な働き方を要求しており、在宅勤務やフレックス勤務はそれほど普及していません。それが、働く母親が就業を継続しにくい理由であり、結果として女性人材の浪費につながっていると考えられます。育児休業を7カ月以上取得し、かつ短時間勤務制度を利用すると、所得は従前より17%低下します。また育児休業から戻ると、業務の難易度の低い、昇進確立の低い部署への配置されることも多くみられます。すなわち、一方で育児休業制度の活用により就業を継続することを奨励しながら、他方ではそれを取得するとペナルティ-が課される仕組みになっています。
 政府の統計によると、育児休業取得率は2013年で76.3%であり、取得対象者の4分の3が制度を利用して仕事と家庭を両立しています。しかし、同じ年に出産した女性でこの制度を利用しているのは約2割にとどまります。実質的にこの制度が利用可能なのは、出産前に常勤の仕事をしていた女性に限られるからです。つまり、働き方の選択肢がないだけでなく、両立支援も十分でないといえます。

(吉村 やすのり)

 

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