凍結の方法
卵巣組織凍結保存の歴史は1954年に遡ります。現在卵子や胚の凍結保存と同様に緩慢凍結法およびガラス化法がヒトに応用されています。標準的な卵巣組織凍結法は緩慢凍結法となっていますが、卵巣組織凍結の方法や移植方法は、各施設独自のプロトコ-ルで行われていて、ガラス化法との優劣に関しては未だ不明です。
緩慢凍結法は古くから開発されて技術で、高価なプログラムフリ-ザ-を用いて凍結保護剤で処理した検体を一定の速度で冷却する方法です。また、本法は細胞外に形成される結晶による細胞への物理的生涯が予想されるため、融解後の卵胞発育過程における卵母細胞の発育と顆粒膜細胞の成熟のバランスが損なわれているとの報告もあります。
一方ガラス化法は、凍結保護剤で処理した検体を直接液体窒素に投入し急速に凍結する方法です。超急速に冷却するため結晶形成が起こりにくく、組織へのダメ-ジが少なく短時間で行えるなどのメリットがあり、簡単なキットも開発されています。液体窒素の管理が可能であればどの施設でも施行可能な技術です。
(吉村 やすのり)