厚生労働省は、2016年度予算の概算要求を提示しています。それによれば、要求額は高齢化などによる社会保障の自然増6700億円を含めて30兆6675億円です。今年度当初予算より2.5%増えることになります。前年の要求額と比べると、医療費が3171億円、2.8%増えて、11兆4523億円となっています。2015年度から内閣府に移った保養所運営費、約1.8兆円を合わせると、厚生省の予算としては過去最大になります。
医療費は、高齢者の増加で膨らむ一方です。年金は11兆2397億円と2.6%増しで、受け取る人が増える上、1人あたりの年金額が、物価・賃金の変動と少子高齢化に合わせた改定で0.1%増加するとされています。介護は2兆7376億円と前年よりわずかに減っています。こうした増えつづける医療の増加を抑制しなければ、子ども・子育ての支援を増やすことはできません。このままの状態では、少子化の流れを止めることはできません。
(2015年8月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)