近年、政府より後発医薬品の利用促進策が打ち出されたこともあり、後発薬の使用は国民生活に浸透しつつあります。医療費削減のための後発薬の利用促進は世界各国の共通課題であり、海外では様々な促進策が導入されています。国による医療制度の違いにより方法は異なっていますが、基本的には医薬品の需要に影響が大きい医師、患者、調剤薬局それぞれに働きかけ、後発薬が選択されるように誘導していることです。
患者に対しては、後発薬がある場合、先発薬との差額が患者負担となる制度が欧州各国で広く導入されています。また特に安価な後発薬を選択した場合、患者の自己負担がさらに軽減されるといった工夫もされています。医師に対しては、薬局での後発薬への変更が容易となるように、先発薬ではなく一般名で処方することを促したり、処方薬に予算枠を設けることで安価な後発薬の処方を促したりしています。調剤薬局については、後発薬の調剤や有利となる手数料をもうけることで、後発薬への変更を促しています。
医師や病院が後発薬の使用に踏みきれない理由としては、後発薬の品質に対する懸念が挙げられます。添加物の品質に対する懸念は強く、医師が後発薬を使用しない第一の理由となっている。例えば、皮膚外用薬では、添加物の違いにより先発薬と効果が異なることがあります。もし変更不可や未変更が特定の医薬品に集中し、それらの品質に対する懸念がある場合、検証を求めるような施策が必要となります。もう一つの理由は、薬価差異の問題です。入院の場合は包括的な支払い制度のため、安価な後発品の使用頻度は高くなります。しかし、外来では薬価の高い先発薬を使用することで、病院がそれらの薬価の差益を得ていることがあります。また製薬会社から研究費を支給されたり、寄付講座を開設されている場合、先発薬を使用せざるを得ない状況になることも考えられます。骨太の方針は、医療費の削減に焦点を当てていますが、入院・外来ともにより包括的な支払体系とするとともに、医療の質を監視し評価することが大切となります。
(吉村 やすのり)