平成25年6月に厚生労働省からHPVワクチンの接種勧奨の一時中止勧告がなされてから、2年以上が経過しました。この間、厚生労働省の副反応検討部会等で本ワクチン接種後の様々な症状に関する徹底したデータ収集と解析、追跡調査、専門家による議論が行われてきました。平成26年2月の第8回の副反応検討部会では、慢性疼痛・運動障害等は機能性身体症状によるものであるという見解が出されました。また平成26年7月の第10回の同検討部会においては、販売開始から平成26年3月末までに国内で接種を受けた延べ889.8万人を対象とした有害事象が検討され、慢性疼痛・運動障害等は176件で10万接種あたり2.0件の頻度であると報告されました。その後の研究においても、これらの症状とワクチン成分との因果関係を示す科学的・疫学的根拠は得られていません。しかしながらワクチン接種を勧奨できない状況が継続し、その結果、現在は接種率がほとんどゼロに近いレベルにまで低下しています。
このような状況を鑑み、日本産科婦人科学会は子宮頸がん予防ワクチン接種の勧奨を求める声明を出しました。
(吉村 やすのり)