子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種の奨励再開を求める声明について―Ⅳ

  世界の趨勢を見ますと、世界保健機構(WHO)および国際産科婦人科連合(FIGO)は最新の世界中のデータ解析結果に基づいてHPVワクチンの安全性と有効性を繰り返し確認し、HPVに起因するすべてのがん予防のために、国家プログラムによるHPVワクチン接種を強く推奨しています。また実際に英国・米国・豪州では、ワクチン接種プログラム世代のHPV感染率の低下および子宮頸部の前がん病変の有意な減少が次々と報告されています。一方で日本においてみられるような慢性疼痛等の様々な症状はワクチン接種とは関係なく発症することもあり、WHOは日本の状況を危惧する声明を発信しています。今後も、本ワクチンの接種の勧奨中止が現状のまま継続されることになれば、若い世代のワクチンによるがん予防の利益を受けられず、世界の中で日本だけが、将来も子宮頸がん罹患率の高い国となる可能性が懸念されます。
 HPVワクチンは、検診(細胞診)とともに子宮頸がん予防のために必須の両輪であり、接種を推奨すべきと考えます。日本産科婦人科学会は、今後も子宮頸がんの根絶を目指して、HPVワクチンに関する科学的根拠に基づいた知識と最新の情報を国民に伝えるとともに、ワクチン接種後の諸症状に対応しつつ、HPVワクチンの接種勧奨を早期に再開することを強く要望いたします。

(吉村 やすのり)

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