日本の医療費は右肩上がりが続いており、2014年度は40兆円となっています。国民医療費は、1978年度に10兆円、90年度に20兆円、99年度に30兆円を突破し、急激な勢いで増え続けています。2002年に医師の技術料となる診療報酬本体を初めて引き下げるなど、政府も対策を打ってきていますが、医療費の抑制への道のりにはほど遠いものがあります。
そもそも高齢化社会では医療費の増加は避けがたいものがあります。65歳未満の1人あたりの医療費は17万7100円ですが、65歳以上になると71万7200円と4倍にも跳ね上がります。加齢とともにがんや心臓病などの病気になりやすくなり、入院も長期化しがちになります。わが国の高齢化が今後も進み続けることを考慮すれば、医療費が増え続ける状況をどこかで断ち切らなければなりません。そのためには、高齢者にも応分の負担を求めなければならなくなります。
(2015年9月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)