認知行動療法とは

認知療法・認知行動療法とは、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法の一種です。認知というのは、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると悲観的になり、問題が解決できない状態に追い込まれることが多いのですが、認知行動療法ではこうした考え方のバランスを取り、ストレスに上手に対応できるような心の状態をつくっていきます。1960年代に米国で生まれ、日本でもうつ病治療の手法として徐々に広がり、2010年からは保険適用も認められるようになっています。 
 認知行動療法は考え方を柔軟にするのが目的です。認知行動療法を取り入れることでストレスを感じることを防ぐことができます。効果はうつ病予防だけではなく、仕事のパフォ-マンスへの自己評価の点数が明確に上昇したとの報告もあります。ただ、日本ではきちんと認知行動療法を行える産業医は決して多くはありません。産業医は内科などを専門とする医師が多く、精神科を専門的に学んだ人は少ないことが原因です。精神科医でも、取得には一定の研修が必要で、だれでもできるわけではありません。厚生労働省から委託を受け研修事業を行う認知行動療法研修開発センタ-で研修を修了した医師は、全国で400人程度にとどまっています。

(2015年10月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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