アルコ-ル依存症は、薬物依存症のひとつです。他の薬物依存症と同様に、脳の病であり行動の病です。アルコ-ル依存症は、普通に起こる病気ですが、完治しにくい病です。長期にわたる断酒をしても、少量のアルコ-ルを飲むと短期間に断酒直前の摂食行動に戻ってしまいます 。現在では、アル中という言葉は使用されません。
昔はアルコ-ル依存症は中年の問題でしたが、今は高齢者に目立つようになってきました。アルコ-ル依存症の専門治療施設として日本最大の久里浜医療センタ-の統計によれば、新規患者に占める65歳以上の割合は、2012年に過去最高の24.3%に達しています。高齢者のアルコ-ル依存症は危険です。体の衰弱や認知症のリスクが高まるからです。もともと体の機能が衰弱し始める年代で、酒びたりで運動や栄養が不足すると、筋肉や脳の衰えに拍車がかかってしまいます。
(2015年10月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)