マラリアなどの5大感染症は、エイズを除いては減少傾向にあります。治療薬の登場で、不治の病ではなくなったエイズ(後天性免疫不全症候群)は世界全体でみると、その死亡数は増加傾向にあります。米ワシントン大学の推計によると、2013年の人口10万人あたりの死亡数は18.72人と、1990年の3倍に達しています。感染症の中では肺炎や気管支炎といった下気道感染に次ぐ死亡率です。
1位の下気道感染と3位の結核、5位のマラリアは、順位は変わりませんでしたが、人口10万人あたりの死亡率はそれぞれ半分程度に下がっています。中国やインドなど人口が多い新興国が経済発展を遂げ、医療や衛生、栄養状態が改善したためと考えられています。特に1990年に2位だったウイルスや細菌が原因で起きる下痢による死亡率は4位に落ち、死亡数も3分の1に下がっています。このほか、6位に新生児の早産に伴う感染症が入っています。
(2015年10月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)