サルコペニアとは、高齢になると筋力が衰え、転倒して骨折する危険が高まるような状態をいいます。足腰が弱り、歩行などが困難になるロコモティブシンドロ-ム(運動器症候群 ロコモ)とともに、高齢化社会で注目されるようになっています。サルコペニアは1989年に米国で提唱された概念で、サルコは筋肉、ペニアは減少を意味します。年とともに筋肉の機能が低下した状態で、活動量が減るため、肥満になり易くなります。ロコモの一歩手前の段階ともいえ、75歳以降該当する人が急増しています。
これまで高齢になれば、筋肉が衰えるのは仕方ないと諦めていました。しかし最近では、トレ-ニングなどで筋肉に刺激を与えることで、サルコペニアを防ぐ取り組みも始まっています。サルコペニア外来では、初診時に体の痛みがある部分を申告し、膝関節と腰椎の画像を撮影します。重い関節の障害の有無を調べ、運動できるかどうかを判断します。運動できると判断され、希望する人は、通院または自宅で運動プログラムを受けることになります。サルコペニアの疑いがあるかどうかの自己チェック法もあります。自己チェック法などが普及すれば、早期に危険度がわかり、寝たきりや介護などの負担軽減につながります。
(吉村 やすのり)