原発作業による労災認定

 厚生労働省は、東京電力福島第1原子力発電所事故後の作業に従事し、白血病を発症した40代男性について、被曝と疾病の因果関係が否定できないとして労災認定しました。同原発の事故後の作業を巡って、白血病を含むがんで労災認定が認められたのはこれが初めてです。放射線被ばくによる白血病の労災認定基準は、1976年に定められており、被曝量が年5ミリシベルト以上で、被曝開始から1年を超えてから発症し、ウイルス感染なの他の要因がないことが条件とされています。
 厚労省は、これまで労働者補償の観点から、業務以外の要因が明らかでない限り、基準を満たせば認定してきたといった経緯があります。医学的に、年5ミリシベルトを超えると白血病を発症するというわけではありません。被曝線量が累積100ミリシベルトを超えると発がんリスクがわずかに上昇するとされています。100ミリシベルト以下の低線量被曝が、健康に与える影響についてはよく分かっていません。こうした労災認定は、たとえ因果関係が明らかではなくても、作業員の安全を守るためには大切だと思われます。

(2015年10月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。