結婚すると夫婦が同性を名乗るよう法律で義務付けられている国は極めて少ない状況にあります。①夫または妻の姓にそろえる、②別姓、③鈴木田中のように夫婦の姓を並べた結合姓の選択肢から、夫婦の希望により選べる国が多くなっています。
結婚後も働き続ける女性が増える中、旧姓使用を認める職場が増えています。一方で、国家資格や公文書によっては、戸籍名の使用が求められ、二つの姓による混乱も少なくありません。医師の場合、戸籍名で登録し、登録内容に変更があった場合は申請が義務づけられています。弁護士の場合は、結婚後身分証明書に職務上の氏名をして旧姓を登録できます。文部科学省によると、教員免許は原則として戸籍名ですが、日常の業務で戸籍名と旧制のどちらを使うかは、学校の裁量に任せられています。いずれにしても働く女性のことを考慮すれば、民法を改正して、法律婚でも別姓を選べるようにすればいいと思われます。
（2015年11月2日 朝日新聞）
（吉村 やすのり）
