褥瘡は床ずれとも呼ばれ、寝たきりの人や、車いすで長時間同じ姿勢でいる人などにできます。骨盤やかかとなど、骨が出っ張っている部分に体の圧力がかかることで血液の流れが悪くなり、皮膚や皮下組織、筋肉が傷つくことによってできます。体を動かすことなどによる皮膚のずれも原因になります。皮膚の表面が赤くなって消えない状態は軽症です。重症化すると、組織が壊死し、骨や筋肉が露出してしまいます。できやすい部位は、お尻のすぐ上にある仙骨部が最も多く約4割を占めています。他に骨盤・太もも・かかと、座った時にお尻の底で骨が出っ張る座骨結節部です。
治療は、傷口を洗浄し、状態に応じて軟膏などの外用薬を塗ったり、傷口をパット状の医療用品で外的な刺激が加わらないように覆ったりします。傷口が大きくて深いときは、血流のある皮膚を移植し、傷口をふさぐ手術をすることもあります。床ずれを治すには医師らによる治療のほかに、介護する人による適切なケアが重要になります。高齢者は、1日に3回食事をしていても栄養が不足しやすいため、栄養補助食品を利用してエネルギ-やたんぱく質、亜鉛などを補う必要が大切です。入浴などで体を清潔にし、皮膚を保湿することも大切です。ベッド上で体を起こす時は、ベッドの傾斜角度がきつくならないようにして、お尻などに体圧がかかりすぎないように心がけます。
(2015年11月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)