テング熱は、人から人へ感染することはなく、患者からウイルスを含む血を吸った蚊が別の人を刺すことで感染が広がります。昨年、患者が162人に上ったデング熱の国内感染は、今季1人も報告されていません。ウイルスを媒介する蚊の活動期も過ぎたため、ゼロでシ-ズンを終えそうです。一方、海外で感染して日本で発症した今年の患者数は、10月下旬で年間の過去最多を超えています。
私の散歩コ-スである代々木公園は、去年国内感染した患者162人の約8割が感染した場所と考えられています。代々木公園は4月から植木の刈込を例年よりも深くし、風通しをよくして蚊が潜みにくくしていました。8月には園内30カ所に看板を立てて、肌の露出を避けることや虫よけ剤の使用を利用者に呼びかけています。こうした蚊を増やさない対策や、海外で感染した患者を早く診断する取り組みが効を奏しています。
(2015年11月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)