摂食障害

 摂政障害とは、食行動の異常に基づく原因不明の難治性の病気です。一般的には、拒食症、過食症などと言われています。ダイエットや受験、何らかのストレスなどを契機に食事量をひかえるるようになり、同時に吐いたり、下剤を使用したりします。ますますやせが進行すると拒食症になります。拒食症の時は、日常活動性は高いことが多いとされています。拒食状態から大量の食物を取るようになる過食症へ移行する場合があります。この場合は、活動性が低下し引き籠もることが多くなります。米国の報告では、10年以上の長期の経過で6割前後が治療などされていますが、67%は死亡するとされています。
 摂食障害は、1.低体重だが患者にその認識がない神経性やせ症、2.大量かつ頻繁に食べた後で自ら吐くなどして体外に出す神経性過食症、3.過食はするが、嘔吐や下剤の服用はない過食性障害の3つに分類されます。特効薬がなく、患者の性格や人間関係、生活環境も多様で、診察には時間が要します。やせて低栄養状態が著しければ、まず入院し、生命の安全を確保するうえでも体重を増やす必要があります。国は、今年度初めて国立精神・神経医療研究センタ-を摂食障害全国基幹センタ-に指定しました。治療は、困難を極めます。拒食になり体重が減少すると、必ず無月経になります。こうした無月経は、将来骨粗鬆症の原因となります。小児科医、精神科医、産婦人科医、内科医が協力して治療にあたることが大切です。

(2015年11月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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