子宮頸がん予防―Ⅳ

日本におけるワクチン接種

 201011月ぐらいから、国と地方自治体によって、子宮頸がんワクチンに対して公費助成が開始されました。その後20133月ぐらいから、メディアでワクチン接種により全身の痛みや歩行障害を訴える女子がいることが報じられるようになりました。20104月には正式に国の定期接種ワクチンになりましたが、その2か月後に厚生労働省はこれら副反応のことを踏まえて、積極的接種推奨の中止を自治体に要請しました。その後、副反応についての検討が行われ、現在の厚生労働省の立場としては、これらの運動障害、広汎な疼痛に関しては、心身の反応(機能性身体状況)であるとの見解が出されました。
 この症状の原因が、本当にワクチンの成分によるものなのか、注射という行為によるものなのかは、まだはっきりした結論が出ていません。昨年12月に日本医師会と日本医学会が共同でシンポジウムを開き、そこでの議論などを踏まえ、今年の8月にHPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引きを発刊しました。その直後に日本産科婦人科学会は、海外の状況やこの手引きの内容に鑑み、日本でも早急に接種を再開すべきとの声明を出しています。

(家族と健康 宮城悦子先生 子宮頸がん予防~日本の課題~)
(吉村 やすのり)

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