政界の動向
日本では子宮頸がんワクチン接種後の副反応の自然発症率について、国が正式に出しているデ-タがありません。そのため原因を科学的に証明しづらい状況にあります。英国は、2013年に調査を行い、国のHPVワクチン接種プログラムと接種部位以外の広汎な慢性疼痛などの症状の発症リスクが関連している証拠がないことを、早い段階で公表しています。昨年3月、世界保健機関(WHO)は、日本の状況について、ワクチンが原因とされる健康被害の主張の根拠は不十分であり、安全で有効なワクチンの使用中止という現実的な危害をもたらす恐れがあるとの声明を出しています。
オーストラリアでは、2006年の11月から4価のワクチン接種が国のプログラムになり、12歳~13歳の女子ほぼ全員が学校で定期接種を受けています。そして13歳~26歳の性交渉があり得る年代では、2007年~2009年にかけ、国全体で無料接種のプログラムが行われました。また、男性HPV感染も予防するため、2012年から12歳~13歳の男子も学校で接種しています。13歳~14歳の男子は2年間限定で、無料で接種が受けられます。そのオ-ストラリアからは、すでにワクチン接種世代で高度の頸部病変が減少しているというデ-タが出ています。またワクチンを接種していない集団にも集団免疫の効果が表れています。米国では、今年から、男女とも11歳~12歳の定期接種に、子宮頸がんの9割を予防できる9価ワクチンの導入を始めています。
(家族と健康 宮城悦子先生 子宮頸がん予防~日本の課題~)
(吉村 やすのり)