政府は、2016年から不妊治療や出産に関する贈与税の優遇を拡充する方針を固めました。祖父母や親が20歳以上の子や孫にお金を贈与する場合、使い道が産前産後の母親の医療費や薬代、産後の健康診断の費用、不妊治療にかかる薬代であれば非課税になります。
子や孫への資産の移転を促し、消費の活性化も促すことにつながります。新たに認める不妊治療や産前産後の母親の薬代は、処方箋に基づいて処方される医療用医薬品です。産前産後の医療費からは風邪など出産と直接関係ない病気は除外されます。母親の産後の検診は誰もが受け取るため、制度の利用者の裾野を広げる効果があります。政府は資産を持つ高齢者から若年世代に資産移転を促すことで、消費の下支えを狙っています。しかし、恩恵を受けるのは比較的裕福な家庭の子や孫だけになるため、金持ち優遇との批判も根強いものがあります。
(2015年11月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)