厚生労働省は、家族の介護が必要になった場合、現行は一つの症状につき1回ずつしか取れない介護休業を、3回まで分割して取れるようにする方法に変更する予定です。日数は合算で93日以内に収めるとしています。柔軟な仕組みにすることで介護を理由に仕事を辞める労働者を減らし、介護離職ゼロを制度面で後押しする狙いです。育児中の労働者と同様に、介護をしている人が会社側に申し出れば、残業を免除する制度も新たに導入する方針です。
いまの介護休業の仕組みでは一つの病気やけがなどの症状につき、93日以内で連続して1度しか休みをとることができません。一度に長く業務から離れざるを得なくなり、職場復帰が難しくなるケ-スもでてきます。新制度では、93日の合算日数は変えないものの、休みを最大3分割できるようになり、家族の状況に柔軟に対応できるようになります。介護が終わるまでの間、残業せずに済む仕組みを作ります。現在、原則として3歳未満の子どもを育てる労働者が申し出た場合、残業が免除される仕組みがあります。これを介護の場合にも適用できるよう企業に義務付けることになります。残業がなくなることで介護にあたる時間を増やすことが可能になります。
(2015年11月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)