民法が夫婦別席を認めていないため、結婚しても職場などで旧姓を名乗り続けたり、結婚届を出さない事実婚を選んだりする人は少なくありません。司法書士や行政書士など名簿に旧姓を併記できる国家資格もありますが、戸籍名で登録される資格は多くみられます。さらに、運転免許証やパスポ-ト、銀行口座などが戸籍名のため、不便を感じることが多くなります。
事実婚でいれば、姓を変えなくて済みますが、法律婚にはない壁に直面します。まず配偶者として民法で決められた相続人になれず、遺言を残す必要が出てきます。また子どもが生まれた場合は、共同で親権を持つことが出来ません。所得税や贈与税、相続税の配偶者控除や軽減が認められず、税金は高くなります。お互いに生命保険の受取人や住宅ロ-ンの連帯保証人になれないこともあります。
(2015年11月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)