再婚禁止期間―Ⅱ

改正の定義

 もし離婚後すぐに再婚して200日たった後に子どもが生まれた場合、前夫と現夫が重複して父として推定されてしまうことになります。この重複を避けるためだけなら、少なくとも100日間の再婚禁止期間があれば足りることになります。法相の諮問期間である法制審議会は、1996年に出した民法改正案で、再婚禁止期間を100日に短縮することが盛り込みました。
 それから20年近く経過し、DNA型鑑定の制度も上がり、父親の特定が容易になってきています。2007年には法務省の通達で、離婚後に妊娠したという医師の証明書があれば、裁判や調停をせずに現夫の子と認められるようになっています。再婚禁止期間をめぐっては、最高裁大法廷が16日に示すことになっています。原告側は、再婚後に生まれた子は現夫の子と推定すれば、再婚禁止期間そのものが不要になると主張しています。しかしながら、法制審議会の案のように、再婚禁止期間を100日とするのがよいと思われます。
 通常の性交渉で妊娠する場合、産んだ女性が母となります。それはまぎれもない事実であり、母の権利です。父親は不明なことはありますが、DNA鑑定で父親を特定することは、子どもにとって好ましい状況とは思えません。

(2015年12月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

 

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