希望出生率1.8を考える―Ⅰ

安倍政権は、一億総活躍社会の実現に向けて少子化対策に向き合う姿勢を鮮明にています。現在1.42の出生率を1.8まで高める目標を掲げています。この目標は、女性が1人が2人近く産まなければいけないということを示すのではありません。3人目の子どもを持ちたいとか、結婚したいといった個々のカップルの希望が実現したとするならば、出生率は1.8前後になるということです。あまりに唐突であって根拠もなく、財源も十分でないとの意見がありますが、若いカップルの希望を叶えるとすればといった趣旨を国民にわかりやすく伝え、理解してもらう必要があります。
 希望の実現を妨げているハ-ドルは、大きく三つ考えられます。一つ目は結婚したいけれどできないというハ-ドル、二つ目は1人目の子どもが持てないというハ-ドル、最後が2人目、3人目が欲しいが持てないというハ-ドルです。いずれも原因が異なっており、それぞれに対応策を考えなければなりません。
 現在は、以前より男女は出会いにくい環境になっています。一昔前までは、女性の仕事の継続は結婚・出産までという考え方が一般的でしたから、職場で男性と出会って結婚して退社する女性が多く見られました。でも今は女性が働き続けることができる会社が良い会社となり、女性が未婚のままでキャリアを積み仕事を継続することが多くなり、仕事場が出会いの場として機能しなくなってしまいました。何歳までに結婚しないといけないという年齢規範もなくなり、自分で結婚を決断しないと結婚できない状況にあります。結婚のハ-ドルは昔より高くなっていますが、そういう社会構造の変化に気付いている人が少ないことも原因です。

(吉村 やすのり)

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