マタ旅とは、妊娠中の旅行を指すマタニティ－旅行の略です。妊娠中期になると安定期に入り、旅行に行きたいという妊婦が増えてきます。昨年7月には、医学的な根拠がないなどの理由で、32年ぶりに温泉法の禁忌症が見直され、妊婦の温泉入浴が解禁されたことも要因となりました。しかし、旅行に行く前には、必ず産婦人科医の診察が必要となります。切迫早産の兆候はないか、胎盤が付いている位置は正常か、その他妊娠の合併症はないかなどをチェックしておく必要があります。そして旅行の日程を医師に伝えることも大切です。
妊娠には絶対ということがありません。いつ何時、何が起こるかは予想できないことが多いのです。現時点でまったく医学的に問題がなくても、突然出血したり、破水したりすることは起こります。出かける前に旅行先の医療施設を調べておくことも大切です。旅行の時には、母子手帳と保険証を持参することが必要となります。旅先で病院に駆け込む妊婦さんを多くみます。妊婦さんは自ら妊娠中であることを自覚すべきです。
新婚旅行ができなかったので、海外旅行をしたいという妊婦さんもお見えになります。海外旅行となると長時間のフライトとなるため、緊急事態に対応できません。妊娠中の海外旅行は控えられた方がよいと思います。お仕事のためどうしても海外に出張しなければならない時は、医師の診察を必ず受けることが必要です。何ら異状がない場合であっても、航空会社に妊婦であることを伝えておいた方が良いでしょう。
いずれにしても妊娠中に絶対の安全はないということです。緊急な対応が必要な場合はまれですが、用意周到さは必要です。
（吉村 やすのり）
