介護疲れで自殺する人も出るなど、介護に厳しい現実を知ることが大切です。最近になり、介護レスパイトが注目されるようになってきました。介護をする人の苦労や悩みを理解し、一時的な休息(レスパイト)の機会を与えるなど支援の動きが広がってきています。厚生労働省は、2025年には認知症の人は約700万人、65歳以上人口の5人に1人になると推定しています。介護保険制度により介護される人への支援は進んできていますが、逆に制度があるから助けはいらないだろうとの誤解も生まれ、介護者が孤立する例も増えてきています。
介護保険法では、介護者支援は任意であり、支援する役割の人がいないのが現状です。介護者も助けないと共倒れになってしまいます。在宅介護を支えている家族は、貴重な介護人材です。それがつぶしたら地域包括ケアは成り立ちません。本当に必要なのは、家族介護している人への支援です。介護者が倒れたら、要介護者の明日はありません。
(2015年12月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)