潰瘍性大腸炎

 潰瘍性大腸炎は、直腸に炎症ができ、その範囲が大腸全体に広がってきます。主に、炎症が直腸にとどまる直腸炎型、半分近くまで広がった左側大腸炎型、大腸全体に及ぶ全大腸炎型に大別されます。潰瘍性大腸炎の初期症状は、下痢や血便、腹痛、発熱などです。しかし、若い人は我慢してしまう例が多く、受診が遅れがちになります。国内の患者数は推定約18万人で、米国に次いで多いとされています。約10年前から2倍以上に増えています。発症の原因は病原体などから身を守る免疫システムの異常と考えられています。異常が起きる詳しい理由は分かっていないものの、食生活やストレス、遺伝的要因なども関係すると考えられています。潰瘍性大腸炎と似ている病気にはクロ-ン病があります。クロ-ン病は病変が大腸に限らず象徴など消化管のどの部分にも起こります。潰瘍性大腸炎は原則、大腸に限定されます。
 重症度は1日の排便回数や体温などで区別します、例えば、16回以上の排便や血便などがあれば重症と診断され、15回以上はさらに悪い劇症となります。また、この長期は慢性疾患で、良くなったり悪くなったりという状態を繰り返す場合が多くなります。治療は炎症を抑える薬物療法が基本です。細菌は選択肢が増えてきています。5-アミノサリチル酸製剤の服用が一般的です。それでも症状が改善されないときは、副腎皮質ステロイド剤やイムランなどの免疫をc調節する薬を使います。適切な治療を受ければ、多くの場合は普通に日常生活を送れるようになります。

(2015年12月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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