安倍政権は、経済政策アベノミクスの新3本の矢として希望出生率1.8を掲げました。合計特殊出生率1.8は子どもを欲しいと考える夫婦の希望がすべてかなうと実現できる水準です。実際の出生率が希望出生率と乖離している理由として、若年層には保育所に入れずに仕事と家庭の両立が困難、収入が増えずに子どもを育てる経済力がないなどがあげられます。
日本の出生率は、1975年に2.0を下回ってから低下傾向が続いています。1.8を最後に超えたのは1984年で、2005年には過去最低の1.26まで下がりました。その後は団魂ジュニア世代の駆け込み出産などで緩やかに回復しましたが、2014年は1.42と9年ぶりに低下しました。2014年の出生数は約100万人であり、統計の残る1899年以降で過去最少を更新しました。このまま人口減少が続くと、労働力が減って継続的な経済成長も難しくなります。安倍政権が少子化対策に力を入れる背景には、成長力を維持する狙いもあります。
(2015年12月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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