引きこもりの子の高齢化

 引きこもりの子と親がともに高齢化することで、悩みが深まってきています。年金生活になったら息子をどう養おうか、自分が死んだら子どもは社会で一人生活していけるのかなど、親の苦しみや心配は絶えません。引きこもり家族の全国組織であるNPO法人KHJ全国ひきこもり家族連合会の実態調査によれば、引きこもり本人の年齢は、現在平均33.2歳です。家族の平均は63.6歳であり、この9年で約3.5歳上昇しています。双方の高齢化が解決を阻む要因にもなっています。
 親の資産を元に、親が死亡した後でも子どもが一生食べていけるような長期的な生活設計サバイバルプランをつくらなければなりません。まず、不動産、預金などの資産を洗い出し、子どもに使える額を決めます。さらに保護者自身の介護が必要になった時の予算や、自身が老後住み替えるなら、かかる予算を算出します。引きこもりになった子どもの兄弟がいるなら、将来の相続で不公平感が出ることもあるため、きっちり説明して根回ししておくことが大切です。現状では、公的機関が就労支援するのは原則として39歳までなので、引きこもりの子の年齢として40歳が、サバイバルプラン設定の目安になります。

(2015年12月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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