再婚禁止期間の判決に憶う

 最高裁判決では、15人の裁判官全員が再婚禁止期間を6カ月間とする民法の規定を違憲と判断しました。これにより、女性の再婚禁止期間が100日に短縮されることになりました。6カ月とされたのは、明治時代に規定がつくられた際、妊娠の有無が誰にも分かるまでは再婚を待つべきだと考えられたためだとされています。他方で民法には、離婚から300日以内に生まれた子は前夫の子、結婚後200日を過ぎた後に生まれた子は現夫の子と推定する規定があります。離婚後すぐに再婚して200日たった後に子が生まれると、父親の推定が重なってしまいます。重複を避けるためには、再婚禁止期間は100日で足りることになります。
 6人の裁判官が賛同した補足意見では、100日以内は違憲ではないものの、父親をめぐって争いになる可能性がない場合には、再婚禁止期間は必要ないと提案されています。実際には、既に婚姻届を受け取る窓口で、女性が高齢の場合や離婚した夫と再婚する場合などには、適用が除外されています。医師の証明書などで、離婚時に妊娠していないことが確実であれば、適用を除外しても良いとされています。幅広く適用の除外を認めていけば、再婚禁止期間を必要とする女性は限られるとの指摘もあります。憲法では結婚の自由を保障しているのに女性の権利を不必要に制約する可能性があり、一律の再婚禁止は憲法違反だとする考え方もあります。
 法務省は、最高裁の違憲との判断は厳粛に受け止める必要があるとし、判決を受けて女性の再婚禁止期間を100日に短縮して取り扱うことを決めました。

(2015年12月17日 朝日新聞
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(吉村 やすのり)

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